チリにも食らいつく

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【雑感】不仲を「ふなか」と読むことへの妙な違和感

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台風直撃三連休、いかがお過ごしでしょうか。expa(@expajp)です。

芸能系のニュース、というかゴシップなんかでよく見る「不仲」という単語。

これなんですが、恥ずかしながらふちゅうとずっと読んでおりました。

正しい読み方はふなかなんですね。

しかし、この読み方、妙な違和感がありませんか?

なんか、読めない漢字をムリヤリ読んだかのような……

この違和感の正体について考えてみたいと思います。

<注意>

学術的っぽいことが書いてありますが、筆者は100%素人であるため、情報の正確性は皆無に等しいです。戯言として暇つぶし未満に読んで下さい。

「不仲」という単語

「不仲」という単語を辞書で引いてみました。

ふ‐なか【不仲】の意味

[名・形動]仲がよくないこと。また、そのさま。「不仲な兄弟」

ふなか【不仲】の意味 - goo国語辞書

普通に「仲が悪い」という意味ですね。で、「仲が悪い」という場合は、3人以上より2人の関係を指している場合が多いでしょう。

以下、この前提で進めます。

重箱読みなのに……

そもそも、不仲(ふなか)と熟語は重箱読みで、一文字目が二文字目を修飾という構造をしています。

重箱読みというのは、一文字目が音読みで二文字目が訓読みである熟語の読み方のことですね。普通の熟語は両方音読みか両方訓読みなので珍しいんです。

(ちなみに訓→音となる熟語は「湯桶読み」といいます)

重箱読みでこの構造の単語といえば、

重箱(ジュウばこ), 額縁(ガクぶち), 客間(キャクま), 金星(キンぼし)

などですが、これらはみーんな訓読みの漢字が一字で意味をなしているという共通点を持っています。

同じ構造なのに「不仲」はこの仲間に入れてもらえません。「仲」だけじゃ仲が良いんだか悪いんだかわかりませんからね。

ネットの漢字辞典をいくつかあたってみたところ、「仲」という漢字には「人と人との関係」を表す意味があるようですが、「仲が良い」というところまではやはり意味しないようです。

「不仲」で一単語

これが第二の違和感。

「不仲」という単語では、「不」で「仲」を否定しているわけではありません

「仲」という漢字に仲が良いという意味はないわけですから、「仲」をそのまま否定したら赤の他人だとか、絶縁状態だとか、そういう意味になってしまい、「不仲」とは意味が離れてしまうわけです。

ですから、「不仲」は仲の否定ではなく一語で「仲が悪い」という意味を表しているといえるのではないでしょうか。

しかし、「不」をアタマにつけた単語は不正確、不可能、不幸せ、不釣り合いなど、複合語で、後半の語を否定する内容になっています。

こういう言葉を使う機会のほうが圧倒的に多いわけですから、もう我々の脳は「不」と来たら後ろの単語の否定だと条件反射的に思っちゃうんですよね。

「不仲」はその条件反射から外れた意味なので、違和感を覚えてしまうのではと思います。

そもそも会話では使わない表現

何気に一番大きい要因じゃないでしょうか。

「不仲」なんて日常会話で使われようものなら100%聞き返すでしょう。

上記のように変わった構造をしていながら、耳慣れない言葉に違和感を抱くのは当然といえば当然ですね。

違和感のまとめ

まとめると、

  • 読み方が珍しい(重箱読み
  • 同じ重箱読みで修飾(音)+名詞(訓)という構造の熟語は、訓が一字で意味をなすケースが大半
  • 「不」で「仲」を否定するわけではなく、「不仲」で一単語としての意味を持つ
  • これだけ妙な条件が揃っているのに、日常会話では聞き慣れない

なんだこりゃ。数え役満じゃないか。

語源についての邪推

ここまで妙な単語だと、誰かの造語なんじゃないかと思いはじめました。

誰かというのは、もちろんマスコミです。特に紙メディア。

限られた文字数で読者の目を引き、かつなるべく正確に内容を伝える見出しを考えるのが、彼らの大きな仕事のひとつです。

「不仲」という単語は読み方はともかく、何が起こっているのかは確実にわかりますよね。記者からしてみればとても使いやすいのです。

しかも、「不仲」にあたる状態を表す単語は他にありません

試しに類語辞典を調べて熟語になっているものを抜き出してみると、

軋轢, 摩擦, 紛議, 不和, 確執

不仲の同義語 - 類語辞典(シソーラス)

こんな感じです。

紛議は聞き慣れない。軋轢は新聞では使えない単語が混じっている。摩擦や確執は仲が悪い状態というよりケンカをしたという行動の意味で捉えてしまいそうです。

この中だと不和が一番近いですが、「和」という漢字のイメージから、2人の関係性を表すときにつかうとチト違和感が残ります

やっぱり、2人の仲が悪い状態を表すには「不仲」なんです。

もしかすると、新聞の見出しかなにかで使われた造語がそのまま定着した、という語源だったりするのかもしれませんね。

この単語を見る場所は今でも紙メディアの見出しにほぼ限られていますし、それなりに説得力のある説じゃないでしょうか。

語源辞典とか手元にないので、誰か調べて教えてください(他力本願)。

まとめと注意

  • 「不仲」という単語には違和感を抱かせる要素が満載
  • マスコミの造語では?と邪推してしまう
  • 本記事に書かれていることは100%書いた人の脳内ソースです

はい。雑感を垂れ流すだけのつもりがちょっと学術的な皮を被った記事になりました。

言語学の素養は0の素人なので、不正確なことだらけのはずです。間違い等ありましたら、遠慮なく恥を晒させてください。勉強になるので。

最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ読者登録をお願いします。